三力の祝
「懐胎の祝」、「誕生の祝」、「忌明の祝」の三つの祝儀のこと。
懐胎(かいたい)の祝
妊娠5ヵ月目の15日に「いわた帯」を結ぶ儀式で、誕生を予祝する儀礼である。
胎児が安定して流産の心配もなくなったころから、妊婦は保温と胎児の成育を安定させるため木綿の腹帯を巻くが、これは今日の科学の目で見ても意味があることである。
胎児の健康と無事な成長を祈るため、誕生蟇目も行われる。
畳の裏と天井の裏は最も汚れた魔障の巣と考えられることから、畳を裏側にして横に立て、白地の扇を七間開いて折紙と共に畳に挟み、的とする。

小笠原流式絵巻より(小山弓具蔵)
誕生の祝
昔は自宅でお産を行い、出生を取り上げる座婆(ざば)や懐婦の腰を抱く腰抱と呼ばれる人がいた。産屋に産棚を設け、瓶子などを供えた。
毎日胎児を保護した「いわた帯」を、誕生のときに浅黄に染めて産着とする。これは、洗濯を繰り返して柔らかくなった帯で新生児の肌をいたわるという意味合いがある。
忌明(いみあけ)の祝
出生から1ヵ月後、母子ともに初めて外出するもので、土地の氏神様にお参りするお宮参りのこと。
帰路には子孫繁栄の親戚などに寄って帰宅するという習わしがある。男の子には破魔弓、女の子には羽子板を献じる。
三郎
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- 最終更新:2011-04-27 19:48:30